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瑞希は彼を一瞥すると、腕を掴んで駅と逆方向へ歩き出した。
どこか店に入り直すことも考えた。
けど、ワンクッション置けば勢いが萎えるだろうし、かといって人通りが多過ぎても落ち着かない。
瑞希は大通りから横道にそれ、居酒屋もコンビニもない路地の真ん中で足を止めた。
ミヤサカの腕を離し、振り向きざまに眉間に力を込める。
「なんで……
なんであんなこと言われなきゃいけないんですか。
たしかに私だって悪いところがある。
だけど、だからってあんな……」
和明の言葉を思い出して、昂った感情がないまぜになった。
ともすれば視界がにじみそうで、瑞希は急いで路地の奥に目を移す。
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