モンタージュ

Ⅵ

「……あんなの、ひどいじゃない……」

いつのまにか声がかすれて、語尾がしぼんでいた。

その時瑞希の視界が揺れて、目の前がグレー一色に変わった。

途切れた思考がしばしの間停止する。

間を置いてそれが再びつながった時、ミヤサカの腕の中にいることと、頬を涙が伝っていることに気付いた。

「……ごめん、続けて。ちゃんと聞いてるから」

濡れた頬に温かい声がかかる。

（ミヤサカめ……）

泣いてしまったとはいえ、抱きしめていいなんて言っていない。

瑞希は心の中で唸るけれど、喉がつかえて声が出ず、代わりに小さく鼻をすすった。

彼は瑞希を腕に抱いたまま動かない。

だから瑞希も身じろぎせずに、そっと目をつぶった。