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早く泣き止みたかった。
普段ならこんな状況落ち着けるわけないのに、彼の鼓動を聞いていると、次第に吹き荒れていた心が凪いでいく。
和明と別れて以来、瑞希は他人とわかり合えると思わなくなった。
本音を見せたって理解されるわけがない。
そう思っていたのに、どうしてだろう。
理屈じゃ説明がつかないけど、心のずっと奥のほうで、なぜか彼ならわかってくれると思う自分がいる。
瑞希はもう一度鼻をすすると、ぽつりと言った。
「そっちだって……ひとりよがりな部分はたくさんあったじゃない。
なのに、私ばっかり責めないでよ……。
………今はちゃんと、なにがだめだったかわかってる。
悪かったとこを悪かったって、ちゃんと認めてるのに」
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