66/69
前へ
/399ページ
次へ
早く泣き止みたかった。 普段ならこんな状況落ち着けるわけないのに、彼の鼓動を聞いていると、次第に吹き荒れていた心が凪いでいく。 和明と別れて以来、瑞希は他人とわかり合えると思わなくなった。 本音を見せたって理解されるわけがない。 そう思っていたのに、どうしてだろう。 理屈じゃ説明がつかないけど、心のずっと奥のほうで、なぜか彼ならわかってくれると思う自分がいる。 瑞希はもう一度鼻をすすると、ぽつりと言った。 「そっちだって……ひとりよがりな部分はたくさんあったじゃない。 なのに、私ばっかり責めないでよ……。 ………今はちゃんと、なにがだめだったかわかってる。 悪かったとこを悪かったって、ちゃんと認めてるのに」
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加