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咄嗟に顔を上げると、苦笑するミヤサカと視線が重なった。 彼の目は奥が覗けないほど深い。 どうしてそんな目をしているのか、瑞希には理由がわからなかった。 彼の瞳を見返せずに俯いた。 いつの間にか心に吹き荒れていた嵐は遠ざかって、ほとんどの感情は流された。 だけど流れ切らなかったものもある。 どうして悲しみは、最後まで残ってしまうんだろう。 「……あーあ……。 結婚、しようと思ってたのにな……」 ぽつりと呟いた言葉は、ミヤサカが腕に力を込めたと同時にかき消された。 目の端が熱くなる。だけどもう涙は湧いてこなかった。 大丈夫、明日からまた頑張れる。 和明を思って心を暗くするのは、本当にこれで最後。 瑞希は大きく息を吸うと、脳裏に浮かぶ思い出たちに、さよならを告げた。
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