3/76
前へ
/399ページ
次へ
原田の言葉を聞きつけたのか、向いから河合が顔を覗かせた。 「そうそう、聞いたぞ。 お前彼女できたんだって?」 そんなことは一言も言っていないのに、こんな調子じゃ原田が憶測で拡散したんだろう。 「さぁな」と言って仕様書をめくっていると、原田がまたわめいた。 「『さぁな』ってなんだよ。 そういうのは肯定してるのと同じなんだよ! お前だけいい思いしやがって……。 罰として、俺らの弁当今すぐ買ってこい」 「あぁ、それいいな! 行ってくれ宮坂!」 浩二は思わず顔をあげた。 腹は減っているけど、理不尽すぎて納得いかない。 「なにそれ、意味わかんないんだけど。 ってか、おとといも俺が買い出しだっただろーが」 「お前、幸せボケてんのか、今日ずっと上の空じゃん。 昨日なんかあったのはわかってんだよ、つべこべ言わずに買ってこい!」
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加