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「……悪い。言い過ぎたよ、そんな怖い顔をすんなよ。 けど、弁当は買ってきてくれ」 「なんだよそれ」 さっきよりは遠慮がちだが、結局ふたりの主張は変わらない。 これ以上問答するのが面倒になり、浩二がため息まじりに財布とスマホを掴むと、原田が大きな声をあげた。 「おぉ、宮坂が買い出し行ってくれるぞ! 弁当おごってくれるって!」 その声に、ほかの社員も「まじで」と顔を上げた。 期待に満ちた視線が集まる中、浩二はだれとも目を合わせないようにして立ち上がる。 「俺がいつおごるだなんて言ったよ、あほか」 「なんだよ、幸せボケしてるくせに……。 ちょっとくらいみんなに幸せを配れってんだ」 いつものことだけど、原田の嫉妬はしつこい。 浩二は冷たい視線とため息を残して、足早にオフィスを後にした。
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