4687人が本棚に入れています
本棚に追加
わずかな風のある夜だった。
梅雨に入る手前で暑くも寒くもなく、買い出しには一番適した季節でもある。
浩二は駅近くのコンビニを目指しながら、スマホを取り出した。
瑞希に連絡するなら今しかない。
LINEを開き、メッセージを打ち込もうとする。
けれど味気なく感じた浩二は、少し迷ってから通話ボタンを押した。
しかし電話は繋がらず、息をついてスマホを下ろした時、彼女からメッセージが届いた。
『ごめんなさい、まだ仕事中なんです』
画面上部の時計表示は、もうじき9時になろうとしている。
こんな時間まで仕事だなんて、やっぱり瑞希も忙しいのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!