31/49

4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
*** キーボードを打つ音が響いている。 宮坂浩二は、冷え切ったコーヒーを飲み干し、文字と数字の羅列をひたすら追っていた。 現在時刻は22時。 ぶっ通しで作業しているから、腹は相当減っている。 けど、手を止めている暇はない。 発注されたバナーの納期が明後日の正午に迫っているため、チーム5人の泊まり込みが確定していた。 「あー、誰かメシ買いにいかね?  さすがに食わないともたないし」 隣の原田が疲れ切った声で零すと、それを口火に「マジ腹減った」とぽつぽつ声があがる。 「で、誰が買いにいくー?」 この辺りにテイクアウト出来る店はなく、駅にコンビニがあるのみだ。 原田の言葉に、みんな瞬時に『俺は行きたくない』とあさっての方向を向いた。 (仕方ねーな……) 浩二は新しく作りかけていたプロムラミングを保存すると、席を立った。  
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加