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キーボードを打つ音が響いている。
宮坂浩二は、冷え切ったコーヒーを飲み干し、文字と数字の羅列をひたすら追っていた。
現在時刻は22時。
ぶっ通しで作業しているから、腹は相当減っている。
けど、手を止めている暇はない。
発注されたバナーの納期が明後日の正午に迫っているため、チーム5人の泊まり込みが確定していた。
「あー、誰かメシ買いにいかね?
さすがに食わないともたないし」
隣の原田が疲れ切った声で零すと、それを口火に「マジ腹減った」とぽつぽつ声があがる。
「で、誰が買いにいくー?」
この辺りにテイクアウト出来る店はなく、駅にコンビニがあるのみだ。
原田の言葉に、みんな瞬時に『俺は行きたくない』とあさっての方向を向いた。
(仕方ねーな……)
浩二は新しく作りかけていたプロムラミングを保存すると、席を立った。
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