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「大変って、宮坂さんだってまだ残るんでしょう?
同じじゃないですか」
「それもそうだけどさ」
瑞希の声は呆れたようではあっても、特に落ち込んだ感じはしない。
(気にしすぎだったか)
瑞希が平気ならそれでいい。
わざわざ蒸し返すこともないと、本題に入らず話を切り上げようとした時、彼女が押し黙っていたことに気付いた。
「……瑞希さん?」
「っていうか……心配して電話してきてくれたんですよね?
私が今日、元彼と打ち合わせだったから」
浩二は無意識に足を止めた。
彼女の問いに、少しして「……どうだった?」と呟くように尋ねる。
「仕事だから、ちゃんと打ち合わせはしましたよ。
だけど、それから会社の給湯室で、ばったり会っちゃたんですよね。
その時に昨日のことを聞かれました」
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