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「……そんなのわかんないじゃないですか」
ぽつりと言った瑞希に、浩二は苦笑したまま首を横に振る。
「わかるよ、絶対にそんなこと思わない」
瑞希がなにを話そうと、最低だなんて思うはずがない。
だって浩二は、自分のほうがよほど最低だってわかっているから。
「……もう、宮坂さんは調子いいんだから……。
本当は黙ってるつもりでしたけど、言わないのはフェアじゃないと思ったんで、少しだけ聞いてください」
その時、電話の向こうで瑞希が深呼吸したのがわかった。
浩二は同じように深呼吸して、耳を澄ませる。
「……私ね。
元彼を見返したくて、元彼が羨むような人と早く結婚したかったんです。
……元彼よりいい男と結婚したかった。
振られたけど、あなたよりもっといい男を捕まえたんだって、見栄を張りたかったんです」
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