4687人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そっか」
短く相槌をうった時、すぐそばで車が一台止まった。
ヘッドライトのまぶしさに目を眇めた時、浩二はいつの間にか足を止めていたことに気付いた。
「私がフルールに登録したのも、元彼を見返したい一心で……。
宮坂さんと付き合ったのも、あなた自身が好きだとか、心惹かれたとか、そういったんじゃない。
ただ……あなたのスペックがよかっただけなんです。
私のことをすごく買いかぶってくれてますけど、私は宮坂さんが思うような人じゃない」
瑞希はそこで口を閉ざした。
やがて「幻滅したでしょう?」と、揶揄を含ませた声で笑うから、浩二は穏やかな声で言った。
「そんなことないよ」
「……もう、嘘ばっかり」
「本当だって」
最初のコメントを投稿しよう!