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幻滅なんてしない。するはずがない。
たとえそれが真実だとして、人それぞれ事情があるし、瑞希の気持ちだってわかっている。
それに、黒い部分なんて胸に秘めればいいだけなのに、正直に話してくれたのは、きちんと向き合おうとしてくれた証拠だ。
心の内側を見せるなんて、浩二には到底できない。
瑞希は強いと思ったし、打ち明けてくれたことがうれしかった。
「本当だよ。
事情は多少なりともわかってるし、幻滅なんてしない。
むしろ俺なんかには勿体ない人だって、再確認した」
「……今の話のどこでそう思うんですか……。
嘘っぽすぎるのも、ここまでくると呆れるんですけど」
「だから本当だって」
「無理しないでくださいよ。
ほんとは交際を見直したいって思ってるんじゃないんですか?」
無理に強がった声を聞きながら、浩二は笑って言った。
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