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「おっ 宮坂行ってくれんの?」
向かいの河合が伏していた顔をあげた。
「腹減ってるんだよ
誰も行かなかったら、結局なんも食えないし」
「よくぞ言った!
コンビニに着いたら、なんの弁当があるか電話してくれ」
そんなことを言う原田は、買い出しを提案したくせに、ついて来る気はないらしい。
(本当、調子いいヤツだな)
返事のかわりにため息をつくと、浩二はスマホと財布を掴んだ。
情報システム部を出て、オフィス街の閑散とした路地を歩く。
上を見上げれば明かりのついたビルがたくさんあって、同じく残業組だろうと思うと、なんだか侘しくなった。
(早く仕上げて、休日はゆっくりしよう)
そんな決意を胸に、浩二はスマホを取り出した。
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