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目を瞑っていると、カーステレオから流れるラジオがよく耳に入る。
どうやら関東地方は先週はじめに梅雨明けしたようだ。
瑞希はうっすら目を開け、何気なく空を見あげた。
ぽっかり浮かぶ入道雲が夏の訪れを感じさせる。
今日は母がたの祖父の七回忌のため、瑞希は父の運転で埼玉の北西部にある母の実家に向かっている。
祖父の家に行くのは祖父が亡くなった以来で、瑞希は流れる車窓をぼんやりと眺めていた。
高速道路を降りてしばらく走ると、あぜ道の先に見慣れた一軒家が見えてきた。
まわりは畑と田んぼに囲まれた祖父の家は、すでに何台もの車が止まっている。
田舎の交通手段はやはり車だ。
瑞希たちも車を降りて砂利道を歩いた。
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