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玄関の引き戸はあけっぱなしになっていて、中に入るとすぐに母の姉である伯母が出迎えてくれた。
「ようきたね、さぁどうぞ」
玄関にはざっと20足は靴が並んでいる。
瑞希はその一番端に靴を脱ぎ、仏壇のある和室へ向かった。
途中母は手伝いに台所に行ってしまい、父は親戚のだれかと立ち話を始めたため、部屋の隅に座って窓の外を眺めた。
しばらくそうしていると、「久しぶり」とだれかに声をかけられた。
振り向くと50代半ばのおじさんが、笑顔で瑞希の隣に腰を下ろす。
「みっちゃん大きくなったな。
実家帰ってきてたんか」
(みっちゃん……?)
瑞希は親戚からそう呼ばれた記憶がない。
内心不思議に思いつつも、曖昧に返事をしておいた。
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