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祖父は8人兄弟だった。
法事は祖父の兄弟をはじめ、その子どもや孫も集まっているから、そうそう会わない人はだれがだれだかわからない。
相手もそんな感じだろうと思っていると、おじさんは笑って尋ねた。
「新婚生活は慣れた?
そういや今どこに住んでるんだっけ? 中国だったっけ?」
さらりと聞かれ、瑞希は目を瞠った。
(これは……)
確実にだれかと間違えている。
瑞希が慌てて「違います」と否定しかけた時、まわりが急にざわついた。
顔を上げれば、庭先に住職さんの姿が見える。
談笑していた面々が一斉に立ち上がったことで、おじさんとも話を続ける雰囲気ではなくなってしまった。
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