4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
(もう……)
瑞希は内心ため息をつきながら立ち上がる。
けど母も祖母もいるし、そのうち訂正しなくとも勘違いだと気付くはずだと、気を取り直した。
それから始まった法事は30分程度で終わり、住職さんを見送った後、入れ替わりで仕出し屋さんの軽トラが庭先に止まった。
祖母を筆頭に、母や叔母は慌ただしく台所に向かう。
「瑞希も手伝って」
母に言われ、瑞希は仕方なく靴に履きかえた。
昔ながらの家だから、台所が土間にあるからだ。
仕出し弁当はお店の人が並べてくれるようで、瑞希は母に言われたとおりビールグラスを棚から出し始めた。
その時、「なにか手伝いは……」と、声が聞こえた。
振り向くと、母と同世代くらいのおばさんが戸口で顔を覗かせている。
(えっと……)
だれだろうと、瑞希は内心呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!