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「たしか、おじいちゃんの三番目の妹のお孫さんよ」
「私会ったことある?」
「あなたとは『はとこ』だけど、会ったことはないんじゃない?」
「へぇー……」
この法事にも『はとこ』は何人が来ている。
けど、正直子どもの頃に多少関わった人も、今じゃ疎遠になってしまった。
(それにしても……)
その『みっちゃん』とは名前まで似てるなんて驚きだ。
さっき母が『美月』と言った時、自分が呼ばれたのかと思った。
世の中には自分に似ている人が三人いるというけど、多少その人のことが気になる。
けれど今中国に住んでいるみたいだし、法事で会わないなら会うこともないだろう。
ぼんやりしていると、母がおぼんの上にグラスをどんどん置いていく。
「それより瑞希。はやくこれ持って行って」
母に急かされ、瑞希は小さく頷いて仏間に向かった。
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