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「暑……」
浩二は無意識のうちに空を仰いだ。
梅雨らしい天気が続いていたけど、それが嘘だったかのような晴天だ。
まだ時刻は9時前だというのに、歩いていると汗が額をにじむ。
日差しがきついのも目がちらつくし、浩二は急ぎ足でオフィス街の路地を足で歩いた。
その日の午後。
「ちょっと聞いてくれ」とすぐそばで部長の声がして、浩二はパソコン画面から顔をあげた。
「さっき総務からパソコンが動かなくなったから見てほしいと連絡があったんだ。すまないが、だれか行ってくれないか」
浩二のチームは、今とりかかっている仕事が明後日に納期を迎える。
だから思わず全員が顔を見合わせた。
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