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自分の奇行は、『美月』という名に反応して、何気なしに写真を覗いたのがきっかけだった。 どんな女だろう程度の興味だったが、その写真が美月に瓜二つだったのには息を飲んだ。 思わず本人かと疑う。 けれどプロフィールを見れば、やはり別人だった。 美月と初めて会ったのは高校生の時で、兄の健吾が連れてきた彼女が、美月だった。 健吾は自由気ままな人間で、彼女そっちのけでゲームに夢中になったり、いつのまにか他の男友達まで連れてきて、騒いだりしていた。 毎度毎度、美月の放置ぶりがあまりにもひどく、見るに見かねた浩二が自分のゲーム機を貸してやったりしていた。 次第に美月と打ち解けたけど、たぶん健吾に振り回される『不憫な同志』としてだったと思う。
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