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「あぁ、そうなんだ」
浩二はマウスを持つ手を止めて、相槌をうった。
総務はこのフロアのみっつ下にある。
入社当時に一度訪れただけで、用事がないからそれ以降行ったことがない。
「しかもさ、だんだん思い出してきたんだけど、たしかあの子……営業本部のだれかと付き合ってるって噂があるよな」
「あぁ、その話は半年くらい前に、お前から聞いた」
前に原田が新入社員を捕まえた男がいると悔しがっていたのを思い出す。
なるほど、それがあの子だったというわけか。
浩二はデスクの端に置いた紙袋に手を伸ばした。
中にはこの間浩二が買ったのと同じ缶コーヒーと、ラッピングされたクッキーが入っていた。
(このクッキーって、手作り……?)
市販されていたものじゃなさそうな雰囲気に、浩二は少し驚いた。
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