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「これだよ」 「ふーん……。 それだけだったなら、まぁ許してやろう」 缶コーヒーを横目に見た原田は、納得した様子で仕事に戻った。 なにを許すのか知らないけど、追及されなかったならそれでいい。 浩二は掴んでしまったコーヒーをしばらく眺めると、ため息を殺してプルタブをあけた。 さっき買ったばかりなのか、缶はよく冷えている。 礼なんてこれだけでいいのに、なかなか重たいおまけつきだ。 一気に気が滅入って、プログラムを目で追ってもぜんぜん頭に入ってこない。 (……とりあえずやらないと) 気を取り直そうとキーボードを打ちかけた時、脇に置いていたスマホが震えた。 届いたメールを開けば、差出人は健吾で、予期していなかった相手だっただけに鼓動が跳ねた。
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