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美月は美人でもないし、とりたてて特徴があるわけでもない。 だけどそこにいるだけで心が安らぐ人で、兄のわがままに付き合える器量もあった。 そんな美月が、『同志』から『兄の彼女以外の存在』になるのに時間はかからず、笑うと目尻に寄るしわ、ふわりとした空気が好きで、愛おしかった。 愛おしいなんて、他人に感じたことのない感情だったけれど、気持ちを自覚してからは苦しんだ。 健吾は気ままだけど、兄弟として好きだった。 だから、そんな兄の彼女に横恋慕している自分が、後ろめたかった。 浩二は告白された相手と付き合って、美月を忘れる努力もしてみた。 けど、付き合っても長続きしない。 美月と会わなければ気持ちも薄れたかもしれないが、健吾とは顔を合わせるし、健吾の隣にはいつも美月がいる。 姿を見る度に切なさと愛おしさ、それに嫉妬が入り混じって、忘れるなんて出来なかった。
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