49/76

4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
特に問題がなかったようで、それから数十分後、和明は小さく頷いた。 「……これで先方に話してみるよ。 不備は見当たらないから大丈夫だと思う」 「ありがとうございます」 ほっとしつつ顔を上げれば、和明と目が合った。 さっきよりもさらに顔色が悪い。 なにか言おうか迷ったけど、瑞希は片付けるふりをして視線を落とした。 「じゃ、これで。失礼します」 ビジネス用の鞄を掴んで立ちあがると、和明も立ち上がった。 そのまま自分のデスクに戻るのかと思ったのに、彼は瑞希のあとについて営業本部を出た。 (お手洗いでも行くんだろうか) 明らかに体調が悪そうだし、少しは気にかかる。 だけど顔には出さずに企画部に戻ろうと、廊下で別れようとした途端、後ろで鈍い音がした。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加