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特に問題がなかったようで、それから数十分後、和明は小さく頷いた。
「……これで先方に話してみるよ。
不備は見当たらないから大丈夫だと思う」
「ありがとうございます」
ほっとしつつ顔を上げれば、和明と目が合った。
さっきよりもさらに顔色が悪い。
なにか言おうか迷ったけど、瑞希は片付けるふりをして視線を落とした。
「じゃ、これで。失礼します」
ビジネス用の鞄を掴んで立ちあがると、和明も立ち上がった。
そのまま自分のデスクに戻るのかと思ったのに、彼は瑞希のあとについて営業本部を出た。
(お手洗いでも行くんだろうか)
明らかに体調が悪そうだし、少しは気にかかる。
だけど顔には出さずに企画部に戻ろうと、廊下で別れようとした途端、後ろで鈍い音がした。
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