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「昨日飲みすぎたんですね」
そうと限らなくても、苛立ちから体調不良の理由を決めつけてやった。
しかしそれが本当に当たっていたようで、和明は顔を歪めて自嘲気味に言った。
「二日酔いの薬、朝飲んだんだけどな」
「そうですか。
まぁ、私は打ち合わせさえちゃんとしてもらえてたら、しんどかろうがどうでもいいですけど」
手洗いまであと数メートル。
やっと役目も終わりだと思った時、弱々しい声が聞こえた。
「……俺、もしかして、今の彼女に振られるかもしれないんだ」
「……は?」
「彼女に距離を置こうって、昨日言われた」
瑞希は無意識のうちに足を止めた。
なんだそれ。意味がわからない。
脂汗を浮かべた和明は、ひどく苦しそうな顔をでうつむいている。
嘘とは思えない雰囲気に、瑞希は唖然として和明の横顔を見つめた。
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