モンタージュ

Ⅶ

『こんにちは。

ちょっと聞いてほしいことがあるんですけど、今日仕事が終わったら電話してもいいですか？』

彼が忙しいのはわかっているから、普段は『時間があるときに』というけど、今は我慢できなかった。

彼からの返信はすぐにきた。

前に散々連絡がないと文句を言ったから、今では彼からわりとすぐに連絡がくる。

『いいよ。

すぐに電話に出られるかわからないけど、その時は掛け直すから』

瑞希は間をおかずに『ありがとうございます』と返事をした。

よかった。やっぱりなにかあった時に、すぐに言える相手がいると助かる。

時計に目をやると、時刻は１２時１４分。

もうあまり時間はないけど、社員食堂を使う気にはなれず、瑞希は小さな手提げかばんに財布とスマホを入れて、オフィスをあとにした。