4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
いったいあなたはなに様なのよ。
人を見下すのもいい加減にしなさいよ。
遠ざかる辻の背中に駆け寄って、ふざけないでよと肩を揺さぶりたくなる。
けど、バカにつける薬はないし、あんな相手に構って取り乱すなんて、大人としてのプライドが許さない。
(いったいあなたがどれほどの女だっていうのよ。
中の中くらいの顔して、なに調子乗ってるのよ。バカじゃないの……!)
心の中で思いっきり毒づくと、瑞希は辻を視界から消したくてビルに駆け戻った。
エレベーターに乗り、休憩室を目指す。
鞄の中から財布をひっつかむと、自販機に小銭を入れて、デカビタのボタンを押した。
一気に喉に流し込むと、瑞希はだれもいない休憩室で声をあげた。
「そっちが別れようがどうしようがそんなの勝手だけど、私は関係ないじゃない。侮辱しないでよ……!」
今日は本当に厄日だ。
瑞希はこみ上げる憤りを、残り半分のデカビタを飲み干してなんとか堪えた。
最初のコメントを投稿しよう!