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「え、もう帰るの?」 「おう、今日はわりと進んだからな。じゃお疲れ」 この時間に帰ることはそうないから、原田は足取り軽くオフィスを出ていった。 しばらくしてうちのチームの面々も原田に続き、それから数時間後、復旧が終わったころにはオフィスに残っているのは浩二と数人になっていた。 時計の針は23時を回っている。 思ったより時間がかかってしまった。 もう帰ろうかと最後にメールチェックをしていると、今とりかかっているプログラムに機能を追記してほしいとの依頼が届いていた。 (まじかよ……) そう難しくないことない変更なのはよかったけど、これからのスケジュールを考えるとギリギリだ。 帰ろうとした矢先に居残り確定だなんて、やっぱり今日はついていない。 腹が減っているせいで、無意識にデスクの端の紙袋に目が向いた。 けどやっぱり食べる気にはなれずに、浩二は隣の原田の引き出しからゼリー飲料を拝借した。 それを口に運びながら、一旦閉じたプログラムを起動させ、キーボードを打ち始めた。
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