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(なんで、瑞希が……) 疲れすぎて幻覚を見ているんだろうか。 それとも、瑞希のことを気にしていたから、あそこにいる人が瑞希に見えているとか? 予期せぬことに、オフになりかけていた頭が一気に冴えた。 浩二は何度か瞬きをする。 けど何度しても、彼女の姿は消えない。 (やっぱり瑞希だ……) 驚きすぎて動揺したけど、幻なわけないし、そもそも自分が瑞希をだれかと間違えるはずはない。 職場は同じ新宿だと話していたし、彼女は企画部だと言っていた。 (まさか、同じ会社だっただなんて……) そんな可能性を考えもしなかったけど、世間というのは思っているより狭い。 浩二は逸る鼓動に任せてそちらに歩き出した。 瑞希は集中しているのか、まったく顔をあげない。 だけど浩二が彼女のデスクの前に立った時、やっと目があった。 顔を上げた瑞希の目は、信じられないものを見たように大きく開く。 「……宮坂、さん……?」 数秒後に聞こえた声は、驚きをあらわにした掠れた声だった。
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