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隣に目をやると、瑞希は真剣な面持ちで画面を見つめている。
浩二はそっと立ち上がり、オフィスを抜けた。
腕時計に目を落とすと、時刻は午前5時前。
体が重くって思うように足が進まないけど、気分は悪くなかった。
休憩室に入り、缶コーヒーをふたつ買って企画部に戻る。
瑞希はさっき出た時とまったく同じ姿で、パソコンに向かっていた。
隣に腰を落とし、缶コーヒーをひとつ瑞希のデスクに置く。
カタンと音がして、彼女が浩二のほうを向いた。
「こっちは終わったよ。そっちは?」
「あとは……集計ファイルとこっちのデータを合わせて、先方に送るだけです」
「そっか、ならちょっと待って。今すぐそっちに送る」
メールソフトを起ち上げ、浩二はカタカタとキーボードを鳴らした。
送信し終えると、今度は瑞希がキーボードを打ち始める。
しばらくその様子を眺めていると、彼女の表情が緩む瞬間があった。
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