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「……終わりました、ほんとありがとうございました」
少ししてこちらを向いた瑞希は、疲れきった顔をしていた。
けれど初め見た時のような悲壮さは消えて、かすかな安堵が浮かんでいた。
「お疲れ。よくがんばったね」
浩二の言葉に、瑞希は力なく首を横に振った。
「宮坂さんに手伝ってもらわなかったら、きっと間に合ってません。
迷惑かけて本当にごめんなさい」
「迷惑とか思ってないよ。
あのまま瑞希さん放って、家に帰れるわけないじゃん」
たとえ帰ったとしても、気になって眠れなかっただろうし、役に立てたほうがずっとよかった。
瑞希は苦笑まじりの息をついた。
「……意地張ってごめんなさい。本当にありがとうございました」
「このお礼はどこかでしますね」と、目をこすりながら笑う瑞希に、浩二も笑うと、缶コーヒーのプルタブをあけた。
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