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「そうそう、ここで見つけた時は幻かと思った」
「それはこっちの台詞です。
疲れと焦りで、ついに幻覚が見えたのかと思いました。
あんな時間に企画部に用事でもあったんですか?」
「あぁ、そうじゃなくて」
浩二は急にデカビタが飲みたくなったと話した。
「企画部の前を通ったら電気がついていて、消し忘れかと覗いたら瑞希さんがいたんだ」
「デカビタ……」
そう呟いた途端、瑞希は急に大きなため息をついた。
そのまま机に肘をついて、両手で額を覆う。
「どうかした?」
なにか様子が変だ。
怪訝に思いつつ尋ねると、瑞希はゆっくり両手を外しながら言った。
「今日、私もデカビタを飲んだんですよ。
聞いてほしいといったのは、それを飲まなきゃいけなくなったいきさつです」
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