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幕の内弁当を手に取りながら、自分が不遇の扱いを受けてる気がしてきた。
けど、最終的には食えたらなんでもいいと割り切り、両手に弁当をぶら下げて早足で会社に戻った。
帰り道を歩きながら、どうしても『美月』のメッセージのことばかり考えてしまう。
どうして返事をくれたんだろう
あのメッセージを、不審には思わなかったんだろうか
不躾なメッセージを送ったのは自分のくせに、浩二は『美月』が不用意な気がしてならない。
悶々としつつオフィスに戻ると、両手が塞がっている浩二は、体で情報システム部のドアを開ける。
「おぉ、待ってたぞ!」
原田と河合が同時に声をあげ、残りの面々も顔をあげた。
弁当が入ったコンビニ袋のまわりに群がり、一斉に弁当を抜き取っていく。
浩二は「お茶買ってくるわ」と、誰ともなしに呟くと、廊下に出てスマホを取り出した。
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