43/49

4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
壁に背を預けて。『美月』のメッセージを何度も読み返す。 とても言えたことじゃないけど、どう考えてももっと疑うべきだろ、と思う。 だけど、これほど美月にそっくりな女を今後探し出せる保障はないのだから、またとないチャンスには違いなかった。 すでに悪印象を与えている気がしなくもないが、返事を滞らせてさらに印象が悪くなるのは避けたい。 浩二は覚悟を決め、大きく息を吸い込んだ。 『美月さん こんばんは  ご連絡ありがとうございます、どうぞよろしくお願いします』 気の利いたとは言い難い、無味乾燥な文章を眺めながら、なんだか社内文章のようだと思った。 けど、下手に無理して、これ以上ボロを出すほうが怖い。 (……もういい、きっと大丈夫だろ) 無難といえば無難だと自分を納得させ、浩二は送信ボタンを押した。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加