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やけに心臓が煩いし、落ち着かない。
たった一通メッセージ送っただけなのに、この動悸はなんだ。
浩二は大きく息をつくと、押し込むようにしてスマホをポケットにしまった。
とりあえず『美月』のことはこれでよしとして、次は弁当を食べて、目の前の仕事だ。
システム部に戻ろうとドアを引きかけて、ふとお茶を買うと出てきたのを思い出した。
普段喉が渇いたら、室内にあるウォーターサーバを使っている。
だから単にあの場を外れる方便だったけど、買ってなくて突っ込まれても面倒だ。
浩二は仕方なしに自販機のある休憩室へ向かった。
休憩室はふたつ下のフロアにある。
企画部と営業本部を通り過ぎると、どちらも明かりがついていた。
(ここも残業組か……)
みんな働き過ぎなんだよと思いつつ、休憩室の引き戸を開く。
もわっとした煙草の匂いに包まれつつ、浩二は普段買わない烏龍茶を買い、システム部へ戻った。
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