49/49

4687人が本棚に入れています
本棚に追加
/399ページ
(え………) 浩二は逸る鼓動を抑えながら、メッセージボックスを開いた。 差出人の名前は『美月』だった。 『ミヤサカさんはSEなんですよね。  お仕事はとても忙しいんですか?』 浩二は少し驚いた。 まさか、自分のことを聞かれると思わなかったからだ。 けど考えてみれば、彼女のいう『メッセージのやりとり』とは、こうやって互いを知る行為のような気もした。 浩二はどう返事をしようか迷いながら、返信ボタンを押す。 『そうです、SEです。  仕事はそれなりに忙しいです』 起した文章を送信しかけて、ふと手を止める。 (これだと味気なさ過ぎるよな……) 考えた浩二は、相手のことも聞いてみることにした。 『美月さんは、どんなお仕事をされてるんですか?』 その一文を付け加えて、メッセージを送信した。 大きく息をついて、時計に目を向ける。 今日は少し早めに出て、どこかコーヒーショップに入ろうと思っていた。 浩二は今度こそベッドを抜け、出勤の支度を始めた。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加