10/38
前へ
/399ページ
次へ
出社するとすぐに、給湯室に向かった。 現在時刻は8時40分。 5月でも、今朝は少し肌寒い。 タンブラーに熱いコーヒーを淹れると、ほっと息をつく。 (よし、今日も頑張ろう) 今日の予定を頭に浮かべながら通路を歩いていると、営業本部のドアが開いた。 無意識に鼓動が跳ねる。 けど、出てきたのは本部長で、和明じゃなかった。 (なんだ……) 軽く頭を下げて、瑞希は隣を通り過ぎる。 ほっとしたけれど、同時に小さな苛立ちも芽生えた。 どうして自分がビクつかなきゃいけないのか。 社内恋愛は、恋が終わってからも面倒だ。 予定はないけど、もう二度としたくないと思う。 瑞希は小さくため息をつくと、気持ちを切り替えて企画部のドアをあけた。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4687人が本棚に入れています
本棚に追加