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神田は相変わらず、資料の山に埋もれている。
瑞希はそれを見ないようにして、そそくさと席を立った。
「帰るよ。言っとくけど、今日は手伝わないよ」
「ひでーな! 今日は違うって」
神田は少し傷ついたような顔で、机の上を漁り始めた。
「手伝ってほしいんじゃなくて……。あぁ、あった。これこれ。
悪いんだけど、これを情報システム部に渡してきてほしいんだよ」
「は? システム部?」
差し出された封筒を眺めながら、瑞希は怪訝な声で聞き返した。
企画部と情報システム部は、直接的な繋がりがない。
不思議に思っていると、神田がさらに言葉を続けた。
「これ、社内郵便が届いた時に、間違って俺のとこに混ざってたんだよ。
俺まだ終わらないし、帰るんなら、ついでに渡してきてくれよ」
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