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「ちょっと待ってよ  全然ついでじゃないし!」 システム部はふたつ上のフロアだし、用事がないから行ったこともない。 当然見知った顔もいないし、気まずいじゃないか。 慌てて封筒を押し返そうとすると、神田は「頼むよ」と片目を瞑った。 「俺まだ終わらないし、その手紙だって、急ぎのやつだった困るじゃん  そうだ、これやるから」 神田は引き出しからチョコを取り出して、瑞希に手渡す。 「もう………」 チョコが欲しいわけじゃないけど、たしかに神田の手を止めて仕事を遅らせるより、退社する自分が渡したほうがいい気もする。 「……わかったわよ、渡してくるわよ」 瑞希は文句を言いつつも、封筒を受け取った。 「サンキュー、よろしく頼むな!」 「はいはい じゃ、お疲れさま」 チョコを口にいれ、瑞希は廊下へと出た。
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