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「あぁ、そうでしたか  すみません ありがとうございます」 相手の男はかなり驚いていたけど、納得したように礼を言うと、封筒を受け取る。 「じゃ、失礼します」 用件が済むと、瑞希はすぐに回れ右をした。 ドアが閉まる音を聞きながら、階段を降りる。 (はぁ、緊張した……) 同じ社内とはいえ、独特の雰囲気があるシステム部は、少し苦手だ。 妙な緊張を抱えながら階段を降りていると、ふと気付いた。 条件反射で来た道を戻ってしまったけど、エレベーターに乗ればよかったんだ。 (もう、なにやってるの) 思わず足を止め、大きく息を吐き出す。 いつもと違うことをするから、リズムが狂う。 自分の靴音を聞きながら、瑞希はシステム部の様子を思い浮かべた。
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