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数日おきにこうして誰かからメッセージが届くが、浩二は返事をしたことがない。
……いや、正確には登録して間もないころに、一度だけ返信した。
美月と少しも似ていない女だったから、丁重にお断りしたのに、なぜかかなり食い下がられて困った。
それ以来、浩二はひたすら沈黙を決め込んでいる。
念のため『優子』のプロフィールを訪れてみるけど、やはり美月に似ておらず、フルールを閉じようとした時、原田が絡んできた。
「なんだよ、お前だってスマホいじってないで仕事しろよ。
ってか、まさか女からメールじゃないだろうな」
うろんな目を向けられ、浩二は大きくため息をついた。
「お前はそれしかねーのかよ。
僻んでないで、仕事しろ、仕事」
「なんだよ、マジで女からのメールかよ。
ハゲろっ、バーカ」
原田の叫びを無視して、浩二は画面に向き直る。
結局、その日は家に帰れずに、退社できたのは次の日の夕方だった。
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