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けど『美月』のほうだって建前をすっとばしているんだし、不躾はお互いさまだ。 自分に言い聞かせつつ、浩二は手持ち無沙汰にスマホをいじった。 (返事、くるんだろうか) 落ち着かずに『美月』のプロフィールを眺めていると、いつの間にかマイページにメッセージが届いていた。 『そうなんです。  メッセージのやりとりだけで、なんとなく性格はわかるけど、  はっきりとしたことは、会わないとわからない。  会った相手が写真と違うっていうのは、  写真だと普通に格好よかったのに、  来たのはすごくハゲた人だったから……  ショックでした』 そのメッセージを読んで、浩二は思わず咳き込んだ。 無意識に原田の呪いが、頭で再生される。
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