第1章

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 歯が痛むなぁ。虫歯かなぁ。そんな事を思いながら私は空を見る。  宙には山羊の頭骨を時計のように回転させながら黒いマントを身体とした物体が舞う。  はっ。人間はこんな事で混乱して恐慌に陥り、走ったり叫んだりしている。  下らぬものよ。こんな者達をいったいどうしろと?…ああ、調教…ではない。えっとなんだったか…。殺す…?う、ううん?更生?あ、そうだそうだ。更生させるのだった。  ふむ。とりあえず逃げ回る愚かな人間を動かないようにすれば良いのだな。嗚呼、人間の愚かさについて語りたくて堪らないが今は抑えよう…。  ふう…。この私の抑制力を知れば人間はそれだけで停止するだろう。そして懺悔して正座して土下座して更生するのではないかぁ?  しかし、嗚呼しかし実に残念だが、私はその術を知らない。仕方なく、仕方なく神から与えられた撲滅丸で人間を殴ろう。  この猫野黒丸が教えてやろう。生きるという事を。
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