プロローグ

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「まだだ。隣の患者に顔を見られた。」私は無線機を握り、当たり前のように使っている”英語”で話した。 1984年3月11日。もう2時近くになる頃だろう。 私は暗殺者。このキプロスの病院に入院してる「ある男」を殺すためにここに来た。 私は、とある病室のドア付近にいたナースと、患者に鏡を持って何かの説明をしている主治医らしい人物を絞め殺した。私はこの患者に用があるのだ。失明して義眼が入った右目、長い髪、髭。間違いない。こいつが殺すべき男、BIGBOSSだ。 彼は痩せていて、動くことさえできなそうだった。殺すだけならとても容易だった。その時、私は隣のベッドにいる顔をグルグルと包帯で巻いている男と目があった。青い目でこちらを睨んできている。怯えていないのだ。だが反撃してこない。所詮ただの患者か。私はそう思いながら、BIGBOSSの目の前についた。 BIGBOSSは主治医が持っていた護身用の拳銃を必死に掴もうとした。だが届かない。体が動いていないのだ。 私はその拳銃を掴んだ。そして彼、BIGBOSSに向けた。伝説の傭兵とも呼ばれたBIGBOSSがこんな無様な最期とはな。そう思いながら、引き金を引いた。 そのつもりだった。だがその瞬間、体が重くなり、引き金から指が外れた。誰かが私の動きを止めようとしているのだ。誰だ??まったく気配がしなかった… 誰なのかはすぐ分かった。隣の患者だ。私を恐れず睨んできた、顔を包帯で覆いつくしてるあの患者。 こいつは一体…そう考えているうちに足が床から離れそうになった。私を投げようとしているのだ。私は必死にもがいて、肘で患者の体を攻撃し、ゆるまった患者の腕を掴み投げた。 まずはこいつを殺さなくては…私はそう思い、ナイフをその患者に向け、患者に近づいていった。 そうしたら今頃になって怯えたのか、患者は近くにあるものを順に投げ始めた。怯えてる為か、私には大して当たらない。だが最後に投げた液体の入った瓶は、私を正確に狙って放たれ、私に当たった。 身体中を液体まみれ、しかも瓶の破片で傷を負った。私は報復として彼の右肩にナイフを投げ、正確に撃ち抜いた。 痛みに動けなくなってる男を見て、もう反撃してこないと確信した私は、BIGBOSSの元に再び戻った。 武器もないので、私は彼の首を絞めた。絞め殺すことにした。彼は苦しみ、意識を失った。もう少し首を絞めていれば、死ぬだろう。 その時、後ろで火をつける音がした。 そして私は、燃えた。
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