第1章

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 「ん?」  その日、私は久しぶりの贅沢で外食をしていた際のことだった。  見覚えのあるような…アドレスからメールが届いた。  『お元気ですか? たまの外食だからといって栄養バランスが崩れてはいけませんよ? ワタシは誰よりもあなたのことをよく知っています。一年後のワタシより』  「なんだこれ?」  メールで語ってくるのは私への注意だった。  しかも、『一年後の私』と名乗る人物から… なりすまし、オレオレ、宗教、アダルト架空請求などなど…二十年ちょっと生きてきた私でも漫画やテレビの世界のような出来事を体験してきたので今回のコレも新種の詐欺っぽいものなんだろうと思い特に返信せず無視した。  「大体、私の仕事は部屋の中で自らの世界を必死に綴る筆者だっつーの!」  自身の作品が偶々見てもらってから世に出す作品を生み出していくようになってからは早数年。最初よりは生活もマシになったが、その分作品を打つ時間が多くなり部屋に籠りっきりになってしまった。  世間体から隔離した部屋に閉じこもる私は外界との接点がほぼ無いに等しい。  だから、このときは全くこの手のメールには反応しなかった。
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