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「ゲホ、ゲホ…」
それから三か月が過ぎたくらいに、私は季節の代わり目の影響を受けて風邪を引いてしまっていた。引きこもり作業の最も起こりやすく油断しがちな病気だ。
「う~… 辛いけど休日だから医者に行けない…おまけに締切が少し過ぎてるし…」
あと、一時間経ったら担当さんが来ちゃうし、辛くて適当なウソも言えないし、具合悪いから外へも逃げれない。
まさに万事休すな時だった。そんな時にメールの着信音が鳴る。
「…」
担当さんかと思い恐る恐るメール画面を開くと
『お久しぶりです。 季節の変わり目の風邪は辛いですよね? いつも私はこういう時期に体調を崩していましたね。色々なことを話したいのですが今日は差し入れを置いて帰ります。 九か月後のワタシより』
「…こんなときまでくだらない」
いつだかのメールがアドレスを変えてまた届いた。こうやって日常会話風にして返信した暁には大量のスパムメールが届く仕組みになっているのだろう…
けど、どうにも見覚えのあるアドレスだったな。
それから数十分が経った時、来客ベルが鳴る。
恐らく担当さんだろう…私はあれから必死に飛ばして何とか作品を書き上げた。担当さんも「風邪なら一言いって、休んでくださいよ!」と驚かれてた。いい大人とはいえ自己管理はしっかりしなければいけないな私も…
最後に担当さんが少し取っ手の伸びたコンビニ袋に二日分くらいの軽食や風邪薬の入った袋を私に手渡してきた。慌てていたようで何も言わずに用件を済まして帰ってしまったが流石担当さんだと思いこの日は身体を温めてゆっくり休んだ。
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