第1章

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 この日はなんと私の作品がアニメ化するということで打ち合わせへ行くことになった。  放送時期やイベント、原作の範囲からどこまでやるかなど大雑把にザックリと打ち合わせをしていた。  正直初めてのことだらけだから任せっぱなしだし、私は次回の原稿を仕上げるのに時間が惜しい状況と睡眠不足からか今日一日が苦痛だった。  昼前から開始した打ち合わせはすっかり日付が変わったあたりで終わり、私はようやく解放された。  「はぁ~ 疲れた… これから帰って原稿か~」  疲れと打ち合わせの内容がゴチャゴチャの頭の中をリセットしたくて、多少遠回りだったけど静かな裏道を帰路にした。  「ふぅ…」  星空を見上げながら、肺一杯に空気を吸い吐き出す。  駆け出しのころ、ネタに詰まった時からやっていた行動は懐かしい感覚を蘇がえさせる。  その時、メールの着信音が鳴った。  「また…」  いつだったかの風邪の時も結局担当さんは知らないの一点張りだったし、友達や両親に話しても「詐欺だから気をつけな」でメールのことは終わっていた。  『お元気ですか? 今日は忙しかったですね。また季節の変わり目が近づいてきたので体調管理には気を付けてくださいね。あと私も着々と有名になってきていますので妙な事案には気を付けてくださいね。 こちらももうじき準備が終わります。三か月後のワタシより』  「それはお前だっつーの…ん?」  またも、メールアドレスが違うが私を語るメールだった。  「これ、やっぱり少し前の私のメールアドレスだ」  妙に見覚えのあったアドレスは十代も終わりのころに使っていたアドレスだった。  「…っ、やっぱり…なんなんだ一体?」  まさかと思って以前のメールも掘り起こして見ると、やはり過去私が使っていたメールアドレスだった…
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