チャイム

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 あれから半年。  自ら望んで塾に通わせてもらうようになった効果もあるのだろうけれど、それでも、親も友達も先生も『こんなにも?』と驚く程アタシの成績は上がった。  最初に志望校を告げた時、ひたすら渋い顔を見せて諦めるよう説得してきた担任は、今は、これなら多分大丈夫と笑ってくれる。  親も、『まさかアンタが松風を受けるなんてねぇ』と笑っている。  とりあえずそのやる気は応援、程度だった友達も、今は真剣に『受かるといいね』と言ってくれる。  家に帰れば目の前には、松風高校の校舎が見える。  あんなに嫌いだった学校だけど、今はどうしても入りたいんだもん、頑張るよ。何かと暇を見つけて勉強を見てくれる、とってもステキで頼もしい、かつての合格者もいるしね。 キーンコーンカーンコーン  昔はあんなに腹立たしかった、やたらと大きなチャイムが鳴り響く。  それを耳にするたびアタシは思うのだ。来年はこの大きな音を、もっと近く…松風にもある吹奏楽部の部室で、町田先輩と聞けたらいい、と。 チャイム…完
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