第4章 約束

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 ブライスは優志と車で近くのドラッグストアに出かけた。必要なものの棚の前で,複数の品物の違いを説明し,小さな容器のものを買った。  家に戻るとふたりでバスルームに入り,ブライスは優志に必要な説明をした。経験したことがないのは十分承知していた。だから理由を言って納得するのを認めてから行動に移すことにしていた。  優志は緊張していたが,冷静にブライスの話を聞き,不安なことは正直にそう伝えた。それでブライスは優志が一人でできることと,ふたりでした方が良いことと分けてみた。  ブライスは優志をバスルームに残して一旦そこを出た。しばらくは優志が一人で進めなければならない。部屋で必要になるものをベッドのそばに揃えて,腰を下ろした。 ―優志はロマンチストと言うより,自分が関わることについて知りたがるんだな,自分が納得するまで。それはいい資質だ,色んな意味で…。そして俺は教えたがり屋という訳だ…。  10分ほど経過してから,バスルームのドアを叩いてみた。中からシャワーを流す音が聞こえてくる。 「ああ,入っていいよ。今シャワーを使ってるけど」  そっとドアを押し開き,シャワーカーテンの向こうに声をかける。 「どうだった?お腹痛くなかったか?」  シャワー栓を止めて,カーテンから優志が顔を出した。まだ緊張している。 「少しだけ痛みがあったけど,さっき無事にできたよ。今シャワーで洗ってみたけど,もう一度やっておきたい…」  最後の方になると顔を俯けてしまった。 「ああ,よく頑張ったよ。このあとは俺に手伝わせて」  先ほど話し合っていたことだったが,優志がスムーズに受け入れてくれるように,控えめな口調で伝えた。優志は顔を上げたが,ブライスの瞳に視線を合わせることは無かった。 「…厭じゃない?あんまりいい気分はしないよ,見てる方も…」 「きちんと知っておいて欲しいんだ。君なら一度教えたら大丈夫だよ,きっと」  再び柔らかな口調でブライスが言った。そして優志の髪の毛に口づけた。続けてこめかみに,頬に,やがて唇に…。 「…どうかな?」 「…ん,わかった。やり方を教えて」  ブライスはシャワーヘッドを受け取ると,優志をそっと後ろ向きにさせた。肩に口づけて,背骨を辿って姿勢を低くし,床に膝をついた。そして優志の尻に手を伸ばして,出来うる限り優しい手つきで,後ろの準備を整えにかかった。
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