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残された時間は僅かだ。今このとき,自分の想いが全て伝わるようにと祈っていた。自分だけが優志を愛するのだと,自分によって優志は「知る」のだと。
優志の手足の動きが緩慢になり,一時静かになり,やがて喘ぎ声が生まれ,途切れなく続き,ついには悦びの声に変わった。あまりの強烈さに叫び声を出さずにはいられなかった。何度もブライスの名を呼んだ,愛している,と叫んだ。
そして優志は知った。
いつまでも続くのかと錯覚しそうな,長く激しくどこか違う次元に放り出されたような快楽の中で,優志は,それを知った。
ブライスが中に入ってきた時,優志は湖の中をたゆたっていた。
身体を重ねて揺すられていた時,優志は大きく豊かな波に揺れていた。
激しく打ち付けられると,ブライスが自分にダイビングしているのだと思った。その時,優志が湖そのものだった。
-君の湖なんだ,俺は…
俺が,君を満たすよ…
まどろんでいる優志の頬をブライスが優しくさすっていた。涙のあとに気づいてタオルでぬぐった。
「…ブライス…」
「…ああ,どう?
その…辛くないか?」
「…辛そうに見える?逆だよ,よすぎて正体失った…」
「良かった…。で,どんなふうに…」
「ブライス,あんまり訊かないで。言葉じゃ言えない。俺を見てたなら…分かるんじゃない?」
シーツをあごまで引っ張り上げて,優志は目を瞑り,満足そうに微笑んだ。ブライスは,喉元に熱い小さな塊が込み上げてくるのを感じた。
「ああ,そうだな…。
優志,動けるなら,今のうちにシャワーを使って欲しいんだけけど。コンドームを使わない時は洗い流さなくてはいけないから」
ふたりでバスルームに入り,ブライスは洗い流し方を手ほどきした。洗浄を覚えた優志には難しい行程ではなかった。けれどブライスには困難な状況だった。
「ブライス,大きくなってる…」
「…っ,仕方ないよ,優志が…」
「俺のせいか…。分かった,責任を取る」
シャワーを止めて,優志はブライスの前に跪き口中にそれを迎え入れて,自分がベッドでされたことを再現し始めた。
ブライスが言葉にならない言葉を発した。疲れているだろう優志を早く休ませてあげたいと思っていた。しかし,こうして優志に捕まってしまえば,止めることなど不可能だった。
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